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2019年9月5日木曜日

「自宅に帰りたい!」と目標を立てると頑張れる心を持ったEさんのお話。

Eさん  80歳後半 男性です。
腎臓病 膝関節疾患、難聴をお持ちの方です。
介護サービスは、福祉用具訪問看護訪問介護を利用中です。


数年前に、腎臓病で倒れ、総合病院で治療を受け、透析が必要になりましたが、病院からの退院後は、サービス付き高齢者向け住宅で生活をしております。




腎臓病があるため、一日おきに透析を受けております。


Eさんは、退院後すぐに看護小規模多機能居宅へ移りましたが、看護小規模多機能での理学療法士の提案する訓練に対して納得しにくく、自己流のリハビリを継続しておりました。


Eさんは、難聴があるため、色々なサービスのスタッフに対しても、なかなか意見が通じにくく、筆談を使うことが多くなっております。




そんなEさんは、とても強い希望があり、
「自宅に帰りたい!」というお気持ちでした。


日々関わるスタッフに対して、「自宅に帰りたい。」という希望が強くなってきており、できれば希望を叶えたいと思っておりました。


しかし、自宅では息子様がEさんの奥様を介護している状態のため、息子様としては、両親の介護は難しいとお話をしておりました。




Eさんは、移動する際に、車椅子を使用しておりました。

もし、自宅へ帰るにしても自宅の中は車椅子の利用がとても難しい状態で、一度、家屋調査をしてみましょうと話になりました。


家屋調査としては、
娘様や普段お世話になっている介護サービスのスタッフの協力を得て、サービス付き高齢者向け住宅から自宅まで同行して頂きました。

自宅に着いてから、

玄関前の階段昇降

玄関の上がり框

自宅の中の廊下

寝室として使用していた居間

台所

トイレ

浴室

といった形で、Eさんが移動されると思われる動線に全員で同行し、Eさん自身が自宅での生活が可能かどうか?検討する機会となりました。


実際、Eさん自身は、現在、車椅子を使用しておりますが、本来は、車椅子を使用するよりも歩行器を使用した方が良い、と理学療法士福祉用具専門相談員から助言されておりましたが、Eさんは、あえて車椅子を使用すると強く主張しておりました。





そして、今回の家屋調査で、Eさんの心が動きました。

「歩行器にしようかな?」とEさんから、お言葉がありました。


Eさん自身は、自宅の階段や動線を移動した際、自宅に帰るには車椅子では不可能と考えたようでした。


今まで、理学療法士福祉用具専門相談員、また介護スタッフが悩んできた「車椅子よりも歩行器の方が良いのでは?」という、心配が一気に解消された瞬間でした。


福祉用具専門相談員としては、「この気持ちが変わらないうちに」と思い、その場で、歩行器の在庫を確認しました。

また、ケアマネジャーの私から、最近新しく出た歩行器「ミケーレ」はいかがでしょうか?と、福祉用具専門相談員に提案しました。



「ミケーレ」は、2017年のグッドデザイン賞を受賞した歩行器で、男性の高齢者向けに「渋い」といったイメージの歩行器です。


後日、サービス付き高齢者向け住宅で歩行器のデモを行うことにしました。



歩行器のデモ当日。

Eさんに、3台の歩行器を提示しました。


歩行器「ミケーレ」をはじめとし、3台の歩行器を試した結果、

Eさんからは、「これにするよ。」と「ミケーレ」を指定されました。


ケアマネジャーの私や福祉用具専門相談員としては、
「もしかしたら、やっぱり車椅子がいい。」と気持ちが変わらないかな?
と思い、「一応車椅子も置かせてもらいますね?」と問いかけると。

「それはもういい。」
「今までお世話になったけど、こっちにするよ。」とお返事でした。


福祉用具専門相談員もケアマネの私も「良かった。」の一言でした。




「今まで、何度も歩行器の方が良いと思いますよ。と専門的に理学療法士と提案してきましたが、全く聞き入れられませんでした。」
「今回の家屋調査で車椅子から歩行器へ変更というお気持ちになって本当に良かったです。」
「自宅に帰りたい!!って、すごいですね!」

と、悩みが解消された瞬間でした。


今回、退院後に自宅に寄らずそのままサービス付き高齢者向け住宅へ入居し、自宅の様子がわからなかったEさんに対して、色々な介護スタッフが関わり、「自宅に帰りたい!」という目標になったことにより、車椅子から歩行器へ変更することも可能になりました。

Eさんは、現在、サービス付き高齢者向け住宅で歩行器を使用しながらリハビリ中ですが、最近では、理学療法士の提案したリハビリにも前向きになり、自己流から理学療法のリハビリを実施するようになりました。


Eさん、リハビリを頑張って、ご自宅に帰れますように。


「自宅に帰りたい!」って気持ち、頑張れる心、
本当にすごいと思いました。








2019年9月4日水曜日

デイサービスで将棋の先生になった?Kさんのお話!デイサービスの女性アイドル的スタッフも!!

Kさん 男性  60歳後半の方です。
脳血管疾患の後遺症のある方です。
ご家族と同居です。


現在は、デイサービスと福祉用具を利用しております。


今回、介護保険証更新でサービス担当者会議を行いました。




Kさんは、とてもしっかりしている方ですが、以前、脳血管疾患により麻痺が残ってしまいました。


その当時は、「麻痺は治らないから・・・」と担当医から説明を受けたそうです。


それでも、もともとスポーツマンだったKさんは、「練習やリハビリ」ということに関して、とても前向きな考えをお持ちの方で、リハビリに集中することができ、想像以上に回復されたようです。


Kさんのお話では、「当時、麻痺側はほとんど動かなかったけど、ある日、急に動くようになったんだよ。」とニッコニコな笑顔でお話しされました。





同席されていた、奥様もその当時を思い出し、「あの時は、本当に嬉しかった。」「担当の先生も写真を撮っていいですか?と聞きにきました。」とお話しされました。


現在は、日常生活全般で細かなことに関して奥様の介助が必要です。

移動動作時は、4点杖の「2ウェイステッキ」を使用しております。


この杖の利点は、
4点杖の中でも幅が狭くなっており、使用される方の足に当たりにくい。
幅が狭いながらも自立できるため、立てかける場所を探さなくても良い。
杖の足の駆動部分を「可動式」と「固定式」に切り替え可能。
など、使用しやすくなっております。

Kさんは、この4点杖をとてもお気に入りで、移動時は常に一緒にいる存在になっております。


今回のサービス担当者会議で、Kさんの「何かに夢中になる時間を増やす。」という目標設定で、色々な話が出ました。



とくに、男性の方は女性に比べるとデイサービスに出かけて友人と交流を楽しむという傾向が少なく感じられます。


そんな中でも、Kさんは昔からの好みであり、得意な「将棋」がありました。


現在は、リハビリを兼ねて、ご自宅でもお孫様に将棋を教えられている様子ですが、最近は、デイサービスでもスタッフや他の利用者様に対しても将棋を教えてくださることが増え、Kさんを囲むようにして「将棋教室?」が開かれております。


デイサービスの女性アイドル的スタッフもKさんの将棋の生徒になり、Kさんとしては、「スタッフ〇〇さんにも教えてあげたい。」と、とても気遣いをされております。


サービス担当者会議の席では、Kさんの夢中になれることがあり、Kさんを取り巻くスタッフや他の利用者様にKさん自身が頼られている様子がとても多くみられ、奥様は本当に嬉しそうに、笑顔を見せてくださいました。




デイサービスは、機能訓練目的で利用することが多くなっておりますが、機能訓練自体の目的も利用者やご家族の方がニーズを正確に伝えられ、また、目標に向けてのサービス内容を提案するケアマネジャーや介護スタッフの提案力も必要だと思っております。


小さな目標・大きな目標、どんな目標であっても、利用者様やご家族のことを考え、目標に向かって利用者様自身が「理解しやすい・頑張りやすい」、ご家族が「支えやすい」、環境設定が必要だと思っております。


これからもKさんが、デイサービスで将棋の先生や、将棋以外でも何か夢中になれることが増えるように、お手伝いできればと思います。